この4年間、マルクスの通勤はわずか30歩だった。ベッドからキッチンへ、デスクへ、また戻る。彼はその生活が気に入っていた。腰の痛みは減り、朝には子どもたちに会え、Slackの返信速度はチームで一番だった。
そして彼の体重は、最後の社員証の写真より15kg増えていた。
こういうものはいつもそうであるように、それは少しずつやってきた。最初の年に2kg、次の年に4kg、その次の年に5kg。妻が友人の結婚式で撮った写真を見せて笑ったとき——意地悪ではなく、ただ驚いて——彼はもう2年も「次のプロジェクトが終わったら手をつける」と自分に言い聞かせていた。「次のプロジェクト」は、いつもあった。
在宅勤務について誰も教えてくれなかったこと
マルクスは原因は食べ物だと思っていた。冷蔵庫はわずか3メートル先、ケトルの隣にはビスケットの缶、引き出しを「ちょっと確認するだけ」と開ければピザの残り。だから彼はキッチンを整理した。3週間後、体重は減らなかった。彼はただ、デスクの上の棚により悪い間食を補充しただけだった。
本当の問題はもっと見えにくかった。オフィスに通っていた頃、彼は意識せずとも1日に約6,000歩は歩いていた——駅、廊下、コーヒーを取りに行く、昼にサラダの店まで歩く、遠回りで帰る。在宅勤務はそれを静かに約800歩まで削っていた。彼は以前より大して多く食べてはいなかった。ただ昔の自分より4/5少なく動いていただけだ。そして彼の体は、彼が気づく3年前にそれに気づいていた。
試してみてうまくいかなかったこと
順番に、それぞれが失敗した理由とともに:
- 間欠的ファスティング。 2週間続いた。土曜日に娘がパンケーキを欲しがって崩壊。
- トレッドミルデスク。 11日で返品。歩きながらコードは打てなかった。
- 1日1,800kcalの厳格な上限。 4日もった。5日目にドカ食い。最悪な気分。やめた。
- 半年のジム会員。 行ったのは4回。
どれも馬鹿げたアイデアではなかった。ただ、どれも「すでに余裕のない生活の上に、新しい日課をネジ留めできる」と前提していただけだ。彼には仕事があり、子どもが2人いて、結婚生活があった。朝5時のジム通いを差し込める枠など、どこにもなかった。
本当に状況を動かしたもの
変化が訪れたとき、それは小さく、地味だった。彼は2つのことを始めた。
1つ目。1か月間、すべての間食を記録した——食事全部ではなく、間食だけ。ただ見てみるために。浮かび上がったパターンはこうだった。ほとんどの日、午後2時から終業までのあいだに、彼は約700kcalもの「計上されていない」エネルギーを口にしていた。ビスケット、チーズ、子どもの食べ残し、「ひと掴み」のはずが4掴みのナッツ。大食いの夕食をしていたわけではなかった。誰も名前をつけていない一食ぶんを、まるごと余分に食べていただけだった。
2つ目。1on1ミーティングを「歩きながら」に変えた。AirPodsを耳に、ノートPCは閉じて、近所を一周。1回40分、週3回。これでおよそ4,000歩が彼の一日に戻ってきた。しかも、新しい時間をどこかから捻り出す必要はなかった。
介入はこれで全部だった。ダイエットなし。ジム会員なし。妻にうんざりされる新しいアプリもなし。
それから1年と少しのち
マルクスはおよそ14か月かけて15kgを落とした。最初の5kgは最初の3か月で消えた。ほとんどは水分と、ビスケットを無意識に食べるのをやめれば落ちる「簡単な脂肪」だった。次の10kgには時間がかかった。途中、数か月間、数字が1mmも動かない時期もあった。彼は転職もせず、引っ越しもせず、筋トレも始めなかった。会費を払い続けていたジムには、ついに一歩も足を踏み入れなかった。
何が最後の決め手になったのかと妻に聞かれて、彼は「理解するまで少しかかった」と言ったうえで、こう答えた——食べすぎていたわけではなかった。動かなくなり、注意を払うのをやめた。そのふたつが4年にわたって静かに積み重なり、誰もそれに気づかなかったのだ、と。
